ねぇ、聞いて聞いて。

日々のいいなあ、と思ったことを書いたり弱音を吐いたりするブログ。銭湯・ラジオ・中央線沿いの街をこよなく愛してる人。 ときどき、おうちごはん日記。

わたしだけのおせち

「おせち」という言葉から
私が連想するイメージは家族や親戚と囲って微笑ましく食べる姿。

私は、そんな姿とは程遠い家庭で育った。

家庭環境が原因で幼少期から常にかなり心が荒んでいた。

大人になったら、お金に対する執着がすごくて
お金を稼いでいない時間がとにかく嫌で。
休んでいても焦燥感にまみれてて、とにかく働いていないと心が落ち着かなかった。

今までそんな日々だった。

だけど、昨年の2023年から高円寺に引っ越してからというものの
穏やかな生活を送れてて、初めて自分を大切に出来始めて、
人間関係にも恵まれて、平和で心から幸せだと感じられた2023年だった。

物も盗られない壊されない、親の身勝手な言動で心が荒れない。
もうお金に焦らなくてもいいし、自由にしててもいい。
やっと、自由な生活が送れた。

そのお祝いと、一般的な家族が囲って食べるおせちを
一回でもいいから食べてみたいと憧れて
大好きな和食料理屋さんで予約して引き取ってきた。

2段重で16000円。

浅草の和食料理屋さんのてづくりおせち。


本当に高い。食べたら無くなっちゃうものに
こんな大金…と思いながら予約して、引取日である大晦日にお店に向かって
店主にお代を渡して「よいお年を」と挨拶しおわって。

どんな中身なんだろう?絶対美味しいだろうなと
片手におせちを持って、わくわくしながら帰路へ。

清水の舞台から飛び下りるぐらいの気持ちで大金はたいて買ったので
途中途中、人にぶつからないように、
うっかり手を緩めて落としたりしないように大切に、大切に。

おせちを持って帰るだけなのにものすごい緊張感だったので
家についた瞬間、あとは食べるだけだ!と緊張が解けて
「はやくはやく!どんなものが詰まっているんだろう?」と一転して心はワクワク一色。

待ちわびていた「おせち」

開けると、

うわああぁあ!!!
立派でしっかりとしたおせち!!
見た目も食べる人を喜ばせようという心配りのある盛り付け!!

これが、わたしだけのおせち!!嬉しい!!!

早く食べたい、でもこんなに綺麗なおせちを崩すのもったいない…
心の中で葛藤しながらも、食べると…わああああ!!!美味しい!!!!

アワビは肉厚で柔らかくて、カニも身がしっかり。いくらはしっかりつぶつぶ。
鴨は冷めてても肉汁がしっとりと染み込んでて、美味しい!
いい素材を使っているのが伝わってくる上に他の具材もどれもこれも美味しい!

幸せだ~!!
もっと食べたい!でも、食べるのもったいない!!
けど箸の手が止まらない!!

いままでの自分だったら絶対こんなに高い食べ物なんて買えなかった。

そもそも同じお金を出すなら、食べたら無くなっちゃうものじゃなくて
もっと実用的なものを買うか、貯金する。

でも、今年は買えた。

ずっと憧れていたおせちを買えた。

お金を稼いでいないと安心できない、焦燥感にまみれた人生だったし
とにかく働いていないと心が落ち着かないぐらいの執着。
食べたらなくなっちゃうおせちにお金は掛けたくない。
だったら、実用的なものを買うか貯金をする。

そんな思考だったのに大金はたいておせちを買って
食べたらなくなっちゃう食べ物。

去年の自分だったら、絶対におせちを買えていない。

そんな私が、自分のために、
自分にとって心地の良いお金の使い方ができた。
そんな自分の心境の変化をおせちを一口一口たべるごとに感じられて、嬉しかった。

自分にとって心地の良いお金の使い方ができたこと。

少しは「普通」に近づけたかな。

しんみりしつつ、おせちの感動が名残惜しくも
そろそろ寝よう…と残ったおせちを冷蔵庫へ。

日本酒も沢山飲んだし、
もうあとはこの幸せな気持ちを抱えてぐっすり寝たい。

残ったおせちは、また明日の私へ。
明日もまた食べられるんだ。

おやすみなさい。

そんな、大晦日でした。

▼いいなと思ったらクリックしてくださると嬉しいです!